乳腺腫瘤の疑いは経過観察なら精密検査は必要ない?原因と癌の確率

乳がん検診で、乳腺腫瘤が見つかる人が増えています。一体何が原因で乳腺腫瘤はできるのでしょうか。

また、乳腺腫瘤が見つかった場合、どんな病気が疑われ、乳癌の確率はどの程度なのでしょうか。

乳腺腫瘤の疑いがあり、経過観察と診断された場合に、知っておきたい情報をまとめました。

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乳腺腫瘤とは?

乳腺腫瘤とは、その名の通り、乳腺にできる腫瘤、すなわち「しこり」全般を指す言葉です。

良性のしこりも、悪性のしこりも、その正体がはっきりするまでは乳腺腫瘤と呼ぶので、検査の結果「乳腺腫瘤と疑い」と書かれることは珍しいことではありません。

そのため、腫瘤が見つかっても、「乳癌の疑いあり」等書かれていない場合は、慌てなくても大丈夫です。

また、乳腺腫瘤の正体は、超音波検査をするとおおよそのことがわかり、更に細胞診、組織診を受けることではっきりさせることができます。

乳腺腫瘤が癌である確率は?

確率
乳腺腫瘤が乳癌であるかどうか判断するためには、細胞診や組織診などの直接診断が必要です。そのため、マンモグラフィや超音波検査を受けても、実際に乳癌であるという人は比較的少ないです。

ある検査機関によれば、集団健診のマンモグラフィで乳腺腫瘤が見つかった人は全体の6%で、更に精密検査を受けて乳癌とわかった人は、乳腺腫瘤が見つかった人の中でも僅か6%以下だったそうです。

また、マンモグラフィの再検査で乳癌と診断されても、実際に乳癌だった人は25%以下だったことも発表されています。よって、乳腺腫瘤があっても、乳癌である確率はあまり高くないと言えます。

乳腺腫瘤があると疑われる病気

胸のしこり
乳腺腫瘤が見つかった場合、乳癌以外にはどのような病気が疑われるのでしょうか。

乳腺線維腺腫

乳腺腫瘤が見つかった人の中で、最も多い病気が乳腺線維腺腫です。特に若い女性に見られる腫瘤で良性腫瘤です。

腫瘤以外にも、乳頭から黄色い液体や血液が混じった液体が分泌されるという症状もあります。

腫瘤が確実に良性であると診断されれば、切除などの必要はありませんが、腫瘤が大きくなり過ぎると、乳房が変形することもあるため、切除を勧められることもあります。

葉状腫瘤

乳腺線維腺腫と症状が似ていますが、急激に腫瘤が成長するという特徴があります。

葉状腫瘤も良性のことが多いですが、まれに良性と悪性の中間である境界型や、転移を伴う悪性の腫瘤のこともあります。そのため、切除することが多い腫瘤です。

乳腺症

ストレスなどにより、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの量が変化することで起こる病気です。

乳腺腫瘤の他にも、乳房の痛みを感じる方もいます。症状が軽い場合は経過観察になりますが、症状が重い場合は、ホルモン療法などを行います。

線維嚢胞症

線維嚢胞とは、乳腺の中に小さな袋ができ、そこに液体が溜まったものを指し、通常両方の乳房に発生します。

そのため、乳腺腫瘤とは性質が異なりますが、画像検査だけだと乳腺腫瘤との区別が難しいため、乳腺腫瘤として精密検査を勧められることもあります。

基本的に嚢胞の場合は、治療は必要ありませんが、針穿刺吸引による診断する際に、溜まった液体を吸い出すことで、嚢胞が消え、完治することも多いです。

乳腺腫瘤の原因

原因
乳腺腫瘤には、さまざまなタイプのものがあるため、原因もさまざまあり、はっきりと解明されていない部分もあります。

しかし、女性ホルモンのエストロゲンの変化が、良性腫瘤にも悪性腫瘤にも影響を及ぼしていることはわかっています。

エストロゲンは体のあらゆる変化の影響を受けやすいため、ストレスや肥満などによっても、量が変化することがわかっています。また、日本では乳癌患者が増加する傾向にあります。

食の欧米化による肥満の増加や、女性の社会進出の機会の増加による出産未経験者の増加、授乳未経験者の増加などが原因と考えられています。

検査結果が経過観察なら大丈夫?

検査方法
乳がん検診の結果は、通常カテゴリー分類が記載されています。

  • カテゴリー1:異常なし
  • カテゴリー2:良性病変のみ
  • カテゴリー3:乳癌を否定できない
  • カテゴリー4:乳癌の疑いあり
  • カテゴリー5:マンモグラフィ上は乳癌

経過観察は、カテゴリー3に相当し、通常半年後の超音波検査の受診を指示されます。

経過観察を指示された人の中にも、乳癌と診断される人は2%程度いると言われていますので、必ず指定された再検査は受けるようにしましょう。

しかし、半年も不安を抱えて過ごすのは、心の負担になることもあります。そういう方は、精密検査を個人的に受けることもできます。

しこりがあれば、自覚症状があると判断され、検査も保険診療になるので、金銭的な負担も少なくて済みます。

乳腺腫瘤のセルフチェックも忘れずに!

乳癌のセルフチェックをご存知でしょうか。月1回程度、自分で乳房を観察し、しこりがないか触って確認することで、乳癌の早期発見のために行う女性も増えています。

このセルフチェックは、腫瘤のサイズの変化などにも気づけるため、経過観察と診断された方にもおすすめです。また、乳房の病気は心の負担も大きいです。

ストレスは、エストロゲンの量に影響を与えてしまうので、検査結果で不安な事があったり、検査後に気になる変化があったら、早めに医療機関を受診し、負担を少しでも軽くできるようにしましょう。

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