腎臓の腫瘍(腫瘤)は、健康診断などの超音波検査で見つかることが多いです。
しかし、超音波検査だけでは、悪性腫瘍か良性腫瘍かの確実な診断は難しいため、精密検査を受ける必要があります。
腎臓の腫瘍が見つかった場合、悪性腫瘍である確率はどのくらいなのか、また、腎臓の腫瘍の種類や、症状にはどのようなものがあるのか、まとめました。
目次
腎臓の腫瘍が悪性の確率
腎臓に腫瘍が見つかった場合、ほとんどが腎嚢胞と呼ばれる良性腫瘍で、悪性腫瘍である確率は低いと言われています。
腎癌は癌全体でみると約1%を占める比較的珍しい癌ではありますが、年々患者数が増加する傾向にあるため、油断はできません。
腎癌(腎盂癌を除く)にかかる確率は、人口10万人あたり、男性で約7人、女性で約3人程度と言われており、男性の方が発症率が高い傾向にあります。
腎癌は、50歳頃から発症率が増加し、高齢になればなるほど発症率は高くなります。そのため、腎臓の腫瘍が悪性腫瘍である確率は、年齢や性別により大きく異なります。
腫瘍が見つかった場合はできるだけ早く精密検査を受け、きちんと診断してもらうようにしましょう。
腎臓の腫瘍は「良性」でも注意が必要
腎臓の腫瘍は良性でも、鈍い痛みや血尿などの症状がある場合や、悪性腫瘍を伴うケース、また、多発することにより腎機能に障害を引き起こす恐れがあります。
そういった場合は、切除手術が必要になることも多いです。
一度良性腫瘍と診断され、切除不要と言われても、定期的に健康診断を受け、経過観察を怠らないようにしましょう。
腎臓にできる良性腫瘍の種類
腎臓で見つかる腫瘍は、ほとんどが良性腫瘍と言われていますが、良性腫瘍にもいくつかの種類があります。
腎嚢胞
腎嚢胞は、50歳を超えると発生する可能性が非常に高くなる良性腫瘍です。
腎嚢胞が発生するメカニズムはまだはっきりとわかっていませんが、遺伝により出現するものもあることがわかっています。
腎血管筋脂肪腫
腎血管筋脂肪腫は、50代~60代の女性に多くみられる良性腫瘍です。
しかし、腎臓の腫瘍の内0.3%程度と、出現する確率は低いです。自然破裂することもあり、自然破裂すると腹痛や貧血、ショック状態を引き起こすことがあるため、切除を勧めらることも多いです。
オンコサイトーマ
オンコサイトーマは、悪性腫瘍との鑑別が難しい良性腫瘍です。
また、腎癌と合併して発生することもあるため、オンコサイトーマと診断された場合は、切除することがほとんどです。
その他の良性腫瘍
他にも、乳頭状腺腫や後腎性腺腫など、いくつかの良性腫瘍があります。
いずれも、悪性腫瘍との鑑別が難しく、切除を勧められる傾向にあります。
腎臓に悪性腫瘍がある時の症状
腎臓にできる悪性腫瘍は、「腎癌」もしくは「腎細胞癌」と呼ばれています。
悪性腫瘍の種類は複数ありますが、出現する症状はどの悪性腫瘍でもほぼ同じで、以下のような症状があります。
- 血尿
- 浮腫
- 腹痛や腰痛、背中の痛み
- 食欲減退
- 体重減少
- 吐き気
- 便秘
しかし、いずれも腎癌特有の症状ではないため、自覚症状による悪性腫瘍の早期発見は難しいとされています。
腎臓にできる悪性腫瘍の種類
腎臓の悪性腫瘍にはさまざまな種類が存在しています。
単独で出現することもあれば、複数出現することもあり、複数出現した場合は、症状や進行の速度、予後などが異なってくることもあります。
ここでは比較的症例が多い7つの悪性腫瘍についてご説明します。
淡明細胞型腎細胞癌
悪性の腫瘍、すなわち腎癌の中で最も多いのが、淡明細胞型腎細胞癌です。
腎癌の75~85%を占める癌で、名前の通り、光学顕微鏡で観察すると、細胞質が明るく見えるという特徴があります。
乳頭状腎細胞癌
悪性の腫瘍の内、10~15%を占めるのが乳頭状腎細胞がんで、タイプ1とタイプ2に分かれます。
タイプ1は60歳以上の高齢者に多く、再発や転移もしにくいため、予後が良好な癌と言われています。
一方、タイプ2の場合は、10代~40代に多く発生し、癌発見時には既に転移していることも多いため、予後不良な癌と言われています。
嫌色素性腎細胞癌
悪性の腫瘍の内、5~10%を占めるのが、嫌色素性腎細胞癌です。
腫瘍の境界がはっきりとしているという特徴があり、再発や転移の可能性も低く、予後が良好な癌と言われています。
多房性嚢胞状腎細胞癌
多数の小嚢胞が発生する悪性腫瘍です。
しかし、再発や転移が認められた症例がないため、予後は良好と言われています。
粘液管状紡錘細胞癌
粘液管状紡錘細胞癌は、中高年の女性に多く発生する悪性腫瘍ですが、発生する頻度はかなり低いです。
再発や転移する可能性が高く、予後が極めて悪い癌とされています。
集合管癌(ベリニ管癌)
集合管癌(ベリニ管癌)は、腎癌の中でも約1%程度と、発生頻度が極めて低い悪性腫瘍です。
症例が少ないことから、また詳細が解明されていない部分もあり、癌細胞の異形度が高く、予後が極めて悪い癌とされています。
多房性嚢胞状腎細胞癌
多数の小嚢胞が集まり、腫瘍を形成する組織型の悪性腫瘍です。
しかし、再発や転移がないため、予後が良好な癌と言われています。
腫瘍が見つかったらできるだけ早く医療機関へ
腎癌は、発症例が少ないですが、進行が早いものや、予後不良のものも多いです。
そのため、早期発見し、早期治療に取り掛かることが、とても大切です。
健康診断等で「腎臓に腫瘍(腫瘤)の疑いあり」という結果が出たら、放置せず、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。