血液検査で甲状腺刺激ホルモン(TSH)の数値が低い時の症状と原因

甲状腺刺激ホルモン

最近なんだか体が重い、微熱が続いているし睡眠の質も落ちている気がする・・・。病院で血液検査をすると、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の数値が下がっていた!

甲状腺といえばなんとなく「ホルモンに関係している」ということはわかるものの、実際にはどのような働きがあり異常が起きるとどうなってしまうのか、詳しく理解している人は少ないでしょう。

今回は、血液検査で甲状腺刺激ホルモン(TSH)の数値が低い時の症状と原因、さらに数値を改善する対策法についてご紹介します。

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甲状腺刺激ホルモン(TSH)の役割

甲状腺刺激ホルモンの役割
人体ではホルモンが様々な働きをしています。女性ホルモンや男性ホルモン、筋肉を増やすホルモン、成長を促すホルモンなど、多種多様なホルモンが役割ごとに存在し活動しています。

甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、体の代謝に大きくかかわっているホルモンです。

「代謝」というとわかりにくいですが、体を正常に整えるために必要なホルモンと考えてください。

甲状腺刺激ホルモンは、この甲状腺ホルモンの分泌量を調整する「サーモスタット」のような存在で、甲状腺刺激ホルモンによって血中の甲状腺ホルモンはいつも一定量に保たれています。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低い時の症状

甲状腺ホルモンが低い症状
体のバランスを整える大切なホルモンが甲状腺ホルモンですから、甲状腺に異常があらわれ、TSHの値が低いときには体と精神、どちらにも症状があらわれます。

まずは体と精神それぞれに出やすい症状についてみてみましょう。

体にあらわれるれる症状

TSHが低くなると、頻脈になり不整脈の症状が出てきます。

そのほかには動悸息切れ、体重の減少、多尿、抜け毛、汗の増加といった症状も出てくるでしょう。

精神にかかわる症状

甲状腺の疾患では、不安感やイライラが増すという精神面での症状も出るのが特徴です。

TS低下の影響で人によっては鬱になってしまうこともあります。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低くなる原因は?

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このように体だけではなく精神面にも影響を与えてしまうTSHの低下、その原因はどこにあるのでしょうか?

TSHが基準値よりも低い場合には、甲状腺の機能が働き過ぎている、亢進状態である可能性があります。

TSHが低下している時に、原因となっていることが考えられる病気は以下の通りです。

亜急性甲状腺炎

「亜急性」とは、慢性化していないものの、急性よりも長い期間症状が続いているということを指します。

一般的な甲状腺炎は甲状腺自体の腫れや痛みを感じず自覚症状に乏しいのですが、亜急性甲状腺炎は甲状腺の腫れと痛みが強いのが特徴です。

亜急性甲状腺炎は30~40代の女性に多く、一度治療すれば予後はよく、再発もほとんどありません。

中枢性甲状腺機能低下症

甲状腺自体には異常がないものの、ホルモンを分泌する下垂体や視床下部のシステムに異常が出ているものを「中枢性甲状腺機能低下症」と呼びます。

この場合は、ホルモンの分泌をコントロールする下垂体に腫瘍ができていることもあります。

バセドウ病

20代~30代に多いのが、バセドウ病による甲状腺機能亢進症です。

甲状腺の病気というと「女性に多い」イメージですが、バセドウ病は若い男性も発症する割合が高めであるのが特徴です。

バセドウ病は自己免疫疾患といい、自分自身を免疫が攻撃してしまうことで甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。

そのため、TSHが低い状態が長期間続く場合、バセドウ病が疑われるようです。

この病気は遺伝的要素もありますので、身近にバセドウ病患者がいる方は注意しましょう。

病気以外では妊娠が原因となることも

妊娠中には、病気でなくともTSHが低下することがあります。

妊娠中に増加するホルモンHCGは甲状腺ホルモンの分泌を促し、甲状腺を亢進状態にさせてしまうのがその理由です。

妊娠中のTSH低下については、一過性のものが多く経過観察となることがほとんどです。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低い時にできる対策はある?

健康診断数値
TSHが低い状態が続き、甲状腺機能に異常がある場合には必ず病院での治療が必要となります。

甲状腺の異常から起こる体調不良は心身ともにつらいものが多いですが、病院での治療で症状は軽快するでしょう。

甲状腺機能亢進症で行われる治療は主に3つです。

抗甲状腺薬による治療

最も手軽な治療は抗甲状腺薬を服用することです。

定期的な通院と毎日の服薬で症状は改善しますが、人によっては薬による副作用を強く感じてしまうこともあります。

また、薬による治療は長期間にわたり、毎日必ず服薬しなければいけないというわずらわしさを感じてしまうこともあるでしょう。

アイソトープ治療

放射性ヨードを使用する「アイソトープ治療」は、服薬と同じく通院だけで治療が行え、しかも服薬よりも短期間で治療が完了する可能性があります。

しかし、アイソトープ治療ができる医院は多くなく、放射性ヨードを使用することから、積極的な治療は行われていないようです。

甲状腺の手術

最も的確に治療したいのであれば、甲状腺を取り除く手術を行うことも可能です。

薬では治らなかった人も、手術後は服薬する必要がなくなります。

但し手術する場所が首の前側であることから、術後どうしても傷跡が気になってしまうかもしれません。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低い時は適切な対処を!

今回の内容を簡単にまとめると・・・

  • 甲状腺刺激ホルモンは血中の甲状腺ホルモン量をコントロールしている。
  • 甲状腺刺激ホルモンが低いと、甲状腺ホルモンはどんどん分泌される。
  • 甲状腺の機能が働き過ぎる(亢進症)は、病院での治療が必要。

となります。甲状腺亢進症は自然に治癒することはありませんので、血液検査の結果TSHが低く「要再検査」となった場合にはなるべく早く病院を受診しましょう。

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