溶連菌感染症は、子供がよくかかる感染症ではありますが、大人も感染し、まれに発症することがあります。
大人が溶連菌感染症になると、どのような症状が出るのでしょうか。また、大人が溶連菌感染症になってしまう原因には、どのようなことがあるのでしょうか。
そんな大人が溶連菌感染症になる原因と症状について紹介します。溶連菌感染症にならないための対策も合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
溶連菌とは?
「溶連菌」とは溶血性連鎖球菌のことで、その名の通り、血液内の赤血球を溶かす毒素を産出する菌です。
他にも、発熱毒素や核酸分解酵素、ストレプトキナーゼなども産出し、あらゆる症状を引き起こします。
形状は球形で、複数の菌が数珠つなぎになっていることから、「連鎖」という単語が名称に含まれています。溶連菌自体はあらゆる場所に存在していて、珍しい菌というわけでもありません。
溶連菌の感染経路は?
溶連菌は、溶連菌感染症患者の咳やくしゃみなどから飛沫感染します。
また、溶連菌が付着した手で物を食べたりすると、経口感染することもあります。
溶連菌感染症は症状の出始めた頃に感染力が最も強くなるため、発熱やのどの痛みに気づく前に周囲の人にうつしてしまっていることも多いです。
特に、年の近い兄弟からは25~50%程度の確率で感染すると言われています。
溶連菌は大人にも感染する!
溶連菌感染症は、周りに溶連菌感染症患者がいなければうつらないと思われがちですが、実は溶連菌自体は身の回りのあらゆるところに存在するため、いつ感染してもおかしくないのです。
それは、子供だけではなく、大人にも言えることで、大人でも溶連菌に感染することはよくあります。
ただ、溶連菌自体が大人しい菌なため、大人が感染していても症状に気付きにくいのです。
大人が溶連菌に感染する原因
大人が溶連菌に感染する原因として一番多いのが、溶連菌感染症にかかった子供の看病による感染です。
しかし、通常大人が溶連菌に感染しても、免疫力が高いため、症状が出ないことがほとんどです。それでも、症状が出てしまった場合は、免疫力が低下していることが考えられます。
免疫力は20代をピークに、加齢とともに低下していき、生活習慣などの影響を受けると、更に著しく低下することもあります。また、妊娠中の場合も免疫力は低下する傾向にあるため、注意が必要です。
大人が溶連菌に感染した時の症状
溶連菌に大人が感染すると、以下のような症状が出ます。
いずれも注意していないと気付きにくい症状なので、身近に溶連菌感染症者がいる人は体調の変化に気を配りましょう。
のどの痛み
通常の風邪症状より強いのどの痛みが現れます。のどは赤く腫れ、つばを飲み込むことも困難になる場合もあるので、そのような症状があったら、溶連菌感染症を疑いましょう。
のどを観察すると、白い膿が付着していることもありますが、適切な治療を受けることで消えていくので、無理に洗い流すなど、刺激を与えないようにしましょう。
溶連菌感染症になっても、自覚症状がのどの痛みのみという人は意外と多いです。
ただ、溶連菌感染症には合併症や続発症もあるため、のどの痛み方が普段と違うと感じたら、医療機関で検査を受けることをおすすめします。
発熱
溶連菌感染症になると、大人も39度程度の熱が出る場合もあります。
ただ、微熱程度で、発熱していることにさえ気づかないこともあるため、注意が必要です。
発疹
まれに、全身にかゆみを伴った赤い小さな発疹が出ることがあります。溶連菌感染症の症状自体が落ち着いてくると、痕は残らずきれいに消えます。
ただし、かゆみがあるため、掻いてしまうと痕が残ってしまうこともあります。できるだけ掻かずに我慢しましょう。
イチゴ舌
舌が赤くなり、まるでイチゴの表面のようにぶつぶつと凹凸ができることがあります。
痛みやかゆみはなく、徐々に症状は消えていくので、イチゴ舌自体はそれほど心配する必要も無いでしょう。
大人の溶連菌感染症の治療法
溶連菌感染症になると、抗生物質が処方され、7日~10日程度の服用を指示されます。
1回目の抗生物質服用後24時間程度経過すれば、感染力はほぼなくなると言われています。
渡された薬を見ると、あまりの量に驚いてしまうかもしれませんが、抗生物質は確実に飲み切らないと、溶連菌が体内に残り、合併症や続発症を招いてしまうこともあります。
また、溶連菌感染症は感染力が強いため、仕事は休まなければなりません。体調などにより個人差はあるため、必ず医師と相談して、指示された休むべき期間を守るようにしましょう。
症状を悪化させないためにも、無理せず安静に過ごすことが大切です。
大人の溶連菌感染症対策
大人が溶連菌感染症になるということは、免疫力が低下しているというサインでもあります。
免疫力を低下させてしまう原因には、以下のようなものがあります。
- 飲酒、喫煙
- 運動不足、睡眠不足
- 食生活の乱れ、ストレス
すぐに全てを改善することは難しいかもしれませんが、睡眠不足が続いている時は食生活に気を配り、飲酒を控えるなど、その時その時の自身の状況に合わせて、日常生活を見直すことから始めてみましょう。
特に、こどもが溶連菌感染症になった時などは、保護者は看病で疲れてしまい、免疫力が低下しがちです。こどもが体調を崩したときこそ、自分の体調を気遣うようにしましょう。
溶連菌検査を受けるのも対策
こどもが何度も溶連菌感染症になると、同居している家族の溶連菌検査をすすめられることがあります。
しっかりと免疫力があれば、溶連菌を保有していても症状が出ず、治療を受けることもないため、長期にわたり溶連菌を保有することになります。
そのことが原因で、こどもに何度も溶連菌を感染させている場合もあります。家族のためにも、また、いつか免疫力が低下した時のためにも、溶連菌検査を受けることが、溶連菌感染症対策になります。
検査は15分程度で結果が出る簡易なものなので、機会があれば、ぜひ受けてみてくださいね。