肺の影が癌の確率は?胸部レントゲン(胸部X線)で見つかる結節影とは

レントゲン撮影

胸部レントゲンで「結節影」が見つかると、まずは肺がんを心配する人が多いと思います。実際、どのくらいの確率で肺がんが見つかるのでしょうか。

また、肺がんの他に「結節影」から疑われる病気とは、どのようなものがあるのでしょうか。今回は、胸部レントゲンで見つかる「結節影」について解説いたします。

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結節影(結節陰影)とは?

結節影
胸部レントゲンでは、直径30mm以下の円形、もしくは類円形の白い影が写ることがあります。

それらは、円形陰影と呼ばれ、肺の組織ではなく、何かしらの腫瘤である恐れがあります。ただ、血管や骨の重なりや乳頭などが、たまたま円形の影として写ってしまう場合もあります。

また、円形陰影には様々な大きさのものがあり、大きさごとに以下のような呼び名があります。

  • 塊状影:直径50mm以上
  • 腫瘤影:直径30mm~50mm
  • 結節影:直径5mm~30mm
  • 粒状影:直径5mm以下

この中で、胸部レントゲンで最もよく見つかるのが、結節影です。

単発性の結節影で疑われる病気

病気
結節影には、単発性と多発性のものがあり、それぞれ疑われる病気の種類が異なります。まずは、単発性の結節影から疑われる病気を見ていきましょう。

肺がん

肺に白い影があると、肺がんを心配する人がとても多いです。

ところが、実際に結節影が見つかり、CT検査を受けた人で、肺がんが見つかる確率は、0.4%~3.4%程度と言われており、その他の疾患に比べるとやや少なめです。

肺がんは喫煙や受動喫煙、アルミニウム、ヒ素、アスベストなどにより遺伝子が変異することで生じます。

症状:咳・呼吸困難・体重減少・血痰・胸痛

肺結核

肺結核は、結節影から見つかることの多い病気です。

1ヶ月以上前に発症し、既に結核菌を排出していない「陳旧性肺結核」と、検査時にも結核菌が活動し、感染力を持っている「活動性肺結核」の2種類あり、ともに結節影が見つかります。

ただ、陳旧性肺結核の場合は、石灰化した結節影が写り、活動性肺結核の場合は、通常の結節影が写るという違いがあります。

症状:発熱・寝汗・咳・痰・血痰・倦怠感・体重減少

肺気腫(COPD)

喫煙習慣により発症し、肺の組織が壊れ、肺の空気の流れが悪くなる病気です。

薬や手術で治ることはありませんが、禁煙をすれば、症状の進行を抑えることができます。

症状:咳・痰・息切れ・呼吸困難

非結核性抗酸菌症

肺結核と症状は似ていますが、最も異なるのは、人から人への感染がないということです。

空気中の非結核性抗酸菌を吸い込むことで感染しますが、近年感染者数が増加する傾向にあります。

症状:咳・痰・血痰・倦怠感・発熱・寝汗・体重減少

肺真菌症

空気中に漂う真菌(カビ)により感染する病気です。

特に、抵抗力が落ちているときに罹りやすいという特徴があります。

症状:発熱・咳・痰・血痰・倦怠感・呼吸困難

慢性気管支炎

感染症や副鼻腔炎、アレルギー、喫煙などにより発症します。

症状:長く続く咳・痰・息切れ

肺炎

肺炎の場合は通常、広範囲に大きな白い影が写りますが、狭い範囲の肺炎の場合は、結節影として写ることもあります。

症状:発熱・咳・痰・息苦しさ・胸痛

多発性の結節影で疑われる病気

多発性の結節影が見つかった場合は、単発性の結節影の際に疑われる病気に加え、転移性肺腫瘍も疑われます。

転移性肺腫瘍

全身の血液は、肺を通して酸素を取り込みます。そのため、他の臓器にがんがある場合、がん細胞が血流にのって流れ、肺の毛細血管に引っかかりやすくなり、そこに腫瘍ができることがあります。

それが、転移性肺腫瘍です。リンパ液や空気によってがんが転移することもありますが、肺に転移するがんは、ほとんど血液によって運ばれていると言われています。

症状:咳・血痰・喘鳴・息切れなど

結節影が見つかったらどうするべきか

健康診断数値
結節影が見つかったら、まずはその影の正体が何なのかはっきりさせることが重要です。健康診断での胸部レントゲンは、病気を見つける検査というより、「病気の疑いを見つける検査」と言われています。

実際、胸部レントゲンで結節影が見つかっても、精密検査でまず行うCT検査で異常がなかったり、良性の腫瘍や古い炎症の痕で治療の必要がないと言われる人も半数近くいます。

また、病気が判明しても、早期治療につながることが多いため、いろいろ悩む前に、やはりまず精密検査を受けることが大切です。

ただ、精密検査の結果が出るまでは、自覚症状がなくても、何かの病気に罹っている可能性があると考えて生活するようにしましょう。

規則正しい生活を心がけたり、禁煙したり、あらゆる病気の可能性を想定して、日常生活を見直すことが大切です。また、肺結核の場合は、他人に感染させる可能性もあるので、マスクも着用するようにしましょう。

誰かの意見より精密検査を!

結節影が見つかると、不安なあまり人に相談したり、情報を検索したりしてしまいがちですが、肺の病気はどれも症状が似ていることもあり、病気を確定するのは難しいです。

また、悩んでいる間にも、病気は進行しているかもしれません。一方、早く精密検査を受ければ、確実な診断と適切なアドバイスが受けられて、更に早期に治療が開始され、精神的にも肉体的にも負担が少なくて済みます。

自分のためにも、周りの人のためにも、結節影が見つかった場合には、少しでも早く精密検査を受けるようにしましょう。

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