健康診断は義務？任意？健康診断がない会社で自分がやるべきこと

会社勤めをしていたら、年に1回は健康診断を受けるのが当然だと思っていましたが、「私の会社では正社員でも健康診断はない」という方がいました。

あれ？健康診断は働く人の義務だと思っていたけど･･･｡

健康診断はやってもやらなくてもいいものなのか？10人未満の個人経営の会社では、健康診断はやらなくてもいいのだろうか？私と同じように疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。

今回は、健康診断を実施しない会社に勤めている方が、ご自分でやるべきことについてまとめました。

健康診断は事業者の義務

労働安全衛生法第66条には、

と定義されています。

個人事業であっても、中小企業であっても会社の規模に関係するものではなく、雇っている人数が一人でもいれば健康診断を実施しなくてはなりません。

法的に決まっているので、健康診断を実施しない事業者には、50万円以下の罰金が課せられます。

また、健康診断を実施しなかったために健康被害が生じてしまった場合は、損害賠償の責任を負うこともあります。

正社員じゃない場合は？

パートやアルバイトの場合でも、下記の条件2つを満たしている場合は健康診断が必要です。

加えて、健康被害を伴う可能性のある特殊な環境での作業を行う労働者の場合は、契約期間が6ヶ月以上なら健康診断を行う必要があります。

なぜ健康診断を実施しない会社があるのか？

健康診断は事業者の義務であるにもかかわらず、実施していない会社が存在するのも事実です。

多くの場合、以下のケースに当てはまります。

会社負担分の支払いを免れたい

労働安全衛生法では、健康診断の費用は原則として会社側が負担する必要があるとしています。

健康診断は1人約7千円～1万円かかりますから、もし10人の従業員がいれば、7万円～10万円の費用がかかります。

その費用分を負担したくなくて健康診断を実施していない可能性があります。

義務であることを知らない

社会保険に詳しい総務担当が辞めてしまった、家族経営の会社で規模が小さく法律関係のことを良く知らないというケースも考えられます。

義務であることは知っているが業務が忙しくて手が回らない

健康診断を実施しなければならないことは知っているが、人手不足でいろいろな業務を抱え込んでいる経営者の場合、健康診断の実施は後回しにしている場合があります。

会社が健康診断を実施しないとき自分がやるべきこと

勤めている会社が健康診断を実施していないことが分かったら、どうすれば良いでしょうか？

会社側に実施をお願いする

まずは直属の上司に健康診断の実施について意見を求めるのがいいでしょうか。

いきなりケンカ腰ではなく、「健康診断がないことについてどう思いますか？」といった感じに、柔らかい切り出し方をしましょう。あくまでも上司の意見を確認することが目的です。

健康に気を遣う年齢であればなおさら同意を求めやすく、上司の意見を確認してから「健康診断の実施は法律で定められていること」や「実施しなければ罰則もあること」を伝えましょう。

さらに、会社のトップ側に健康診断の実施をお願いするときは、会社内で賛同してくれる人が多ければ多いほど意見が通りやすいです。

「○○部にも同じ意見を持つ人が何人もいますよ」「○○さんが以前勤めていた会社では監査で指摘を受けたそうですよ」など具体的に説明しましょう。できれば直属の上司からお願いしてもらうのがベストです。

労働基準監督署に連絡する

会社側に健康診断の実施をお願いしても聞き入れてもらえない場合は、近くにある労働基準監督署へ相談しましょう。「会社にばれたらクビにされてしまう」「会社での立場が悪くなる」と心配になるかもしれません。

健康診断に限らず、賃金や労働時間のことで労働基準監督署へ申告しても、申告した労働者を不当に扱ってはならないと法律で決められています。

それでも心配な場合は、相談や申告の際にその旨を伝えれば、労働基準監督署も配慮してくれます。

ただ、電話ではなく直接労働基準監督署へ出向いて相談もしくは申告するように、と言われるケースが多いようです。

優先すべきは健康診断を受けること

会社が健康診断を実施せず、3年以上健康診断を受けていない方は、自費で健康診断を受けることも考えましょう。

忙しく働く方は、なかなか自分の健康まで気配りが出来ず、症状が現れた時にはかなり病気が進行していたというケースもあります。

「自分の健康は自分で守る、自分でお金を出してでも健康診断を受ける」と考え方を切り替え、年に1回有給休暇をとって健康診断を必ず受けることをお勧めします。