胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因にもなるピロリ菌は、症状がなくても感染している人がいます。
その場合、ピロリ菌検査を受けなければ、ピロリ菌感染に気付くことはできません。そこで、今回はピロリ菌検査の方法や除菌治療についてまとめました。
除菌治療の際に注意すべきことや、アルコールやタバコ、コーヒーなどの摂取についてもご紹介しています。正しく治療を受けて、少しでも除菌治療を成功させられるようにしましょう。
ピロリ菌の検査方法
ピロリ菌の検査方法は、大きく分けて2種類、内視鏡を使用する検査と使用しない検査があります。
内視鏡を使用する場合も、使用しない場合も、それぞれ3種類ずつ検査方法があり、希望する検査を選択することもできます。
内視鏡を使用する検査方法
内視鏡で胃の粘膜の状態を確認し、異常がある場合はピロリ菌感染を疑います。
また、内視鏡で胃の粘膜を採取して、ピロリ菌の有無を確実に検査する方法もあります。
1.培養法
胃の粘膜を採取してすり潰し、5~7日間培養して、ピロリ菌が増えるかどうかを調べる検査方法です。
2.迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌が持っているウレアーゼ酵素がアンモニアを生成することから、胃の粘膜を特殊な液に入れ、色の変化でアンモニアの量を調べて、ピロリ菌の有無を判定する方法です。
3.鏡検法
採取した胃の粘膜を染色して、顕微鏡でピロリ菌を探す検査方法です。
内視鏡を使用しない検査方法
内視鏡を使うことには不安がある人もいると思います。そういう方には、内視鏡を使用しない検査をおすすめします。内視鏡を使用しない検査にも、3つの検査方法があります。
1.尿素呼気試験法
20分程度で精度の高い結果を得られるため、ピロリ菌の検査で現在最も多く利用されている検査方法です。
尿素呼気試験法は、ピロリ菌が持っているウレアーゼ酵素が、胃の中の尿素を分解して、アンモニアと二酸化炭素(13CO2)を作るメカニズムを使用した検査です。
患者は検査薬を服用し、横になったり座って20分待った後、パックに息を吐き出すだけと、負担も少なく済みます。パックに溜まった呼気を調べ、呼気に13CO2が多く含まれていた場合に陽性ということになります。
2.抗体測定
血液や尿を用いた検査で、ピロリ菌感染による抗体ができているか調べます。
最近では、郵送で検査できる尿検査キットが販売されていて、気軽に受けられるようになってきました。
忙しくて医療機関で検査を受けられない方は、利用してみるのも良いでしょう。
3.便中抗原測定
ピロリ菌抗体は、生きた菌だけでなく死んだ菌もピロリ菌抗原として認識します。
その特異的な反応を利用して、便中にピロリ菌抗原があるかどうか調べる検査です。
ピロリ菌の除菌方法
ピロリ菌感染が陽性だった場合、抗生物質を2種類と、胃酸の分泌を抑える薬1種類、合計3種類の薬を1日2回服用します。
1週間、指示通りに服用すると、除菌の成功率は80%前後に達すると言われています。その後、4週間経ったら、再度ピロリ菌検査を受けます。そこでピロリ菌検査が陰性であれば、除菌は成功したということになります。
もし、再度陽性になった場合は、服用する抗生物質のうち1つの種類を変えて、また合計3種類の薬を同様に1週間服用します。
二次除菌治療を終えると、ほとんどの方が除菌に成功しますが、失敗した場合は、三次治療、四次治療と続いていきます。
ピロリ菌除菌時に注意すること
ピロリ菌の除菌治療は、2013年より保険診療になりましたので、費用の負担も減り、より身近な治療になりました。
ただ、除菌治療には副作用もあるので、注意が必要です。
また、治療中は避けなければならない食品もあるので、除菌治療の効果を薄れさせてしまわないよう、意識して生活するようにしなければなりません。
除菌治療の副作用
除菌治療を始めると、軟便や下痢などの副作用が起こる事があります。原因は抗生物質による腸管刺激や、腸内細菌のバランスが変わってしまうことにあると言われています。
発熱や、腹痛を伴う下痢、血便、発疹や肌のかゆみが起きた場合は、すぐに薬の服用をやめて医師に相談してください。
下痢や軟便などの症状が軽めの場合も、勝手に服用する薬を減らしたりせずに、まずは医師に相談してください。
除菌治療中のアルコールやコーヒー
除菌治療中は、基本的にアルコール類やコーヒーの摂取は控えましょう。
除菌治療に用いられる薬は、胃酸の分泌を抑える効果があるのですが、アルコールやコーヒーを摂取すると、胃酸の分泌を促してしまいます。
そうすると、抗生物質の効果が薄れてしまう恐れがあります。治療後は、薬の服用が終わった翌日からならアルコールやコーヒーを飲んでも大丈夫なので、それまではしっかり我慢しましょう。
除菌治療中のタバコ
除菌治療中は、タバコも控えるのが原則です。タバコは胃に負担をかけるので、除菌成功率が低くなることがわかっています。
タバコも、薬の服用が終わった日の翌日から吸っても構いませんので、治療中の7日間は我慢しましょう。
ピロリ菌除菌治療で胃の寿命を伸ばそう!
ピロリ菌の有無で、胃の寿命が変わると言われています。ピロリ菌検査をしてから除菌治療の薬の服用完了まで、早ければ約1週間です。
その1週間で胃の寿命が伸びるなら、検査も治療も早めに受けておきたいものです。
ピロリ菌感染による自覚症状がある方も、ない方も、ぜひ一度気軽な気持ちで検査を受けてみましょう。