胃のポリープは、悪性の時はもちろん、良性の時でも念のために切除を勧められることがあります。
ポリープの切除は手術によって行われますが、内視鏡による手術なので、十数分で終わることもあり、体の負担も少ないことから、検査当日に手術を受ける患者もいるほどです。
そんな胃のポリープの切除手術について、手術方法の種類や入院期間、費用、また、手術後に気を付けたいことなどをまとめました。
胃のポリープの手術方法
胃のポリープの切除するための手術方法には、大きく分けて3種類あります。
いずれも内視鏡を使用するため、開腹などの必要はありません。
1.内視鏡的ポリペクトミー(内視鏡的ポリープ切除術)
内視鏡的ポリペクトミーは、内視鏡を使った手術で、最も多く使用されている手術方法です。
高周波スネアと呼ばれる細いワイヤーでできた輪を内視鏡を通してポリープに掛け、スネアを徐々に締めながら、弱い電流を流します。
ポリープの根元がある程度締まったら、電流により焼き切り、切除します。体への負担も少なく、日帰り手術が可能な術式です。
2.内視鏡的粘膜切除術(EMR)
ポリープが垂直方向ではなく、水平に広がるように盛り上がっている場合、ポリペクトミーでの切除は難しくなります。その場合使用されるのが内視鏡的粘膜切除術という術式です。
まず、内視鏡を使用して、ポリープの下に隆起剤(生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウム液など)を注入します。
そうすることで、盛り上がったポリープにスネアを掛けて、隆起させた部分と一緒に締め、弱い電流を流して焼き切ります。内視鏡的粘膜切除術も、日帰り手術が可能です。
3.内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
ポリープの大きさが2cm以上の場合は、スネアを掛けることができないため、電気メスを使用して切除します。
内視鏡的粘膜切除術と同様に、隆起剤を使用して切除しますが、電気メスにより、粘膜下層を切開するという大きな違いがあります。
内視鏡的粘膜下層剥離術は、入院が必要になりますが、ポリープを完全に切除できるので、再発のリスクが格段に低くなるというメリットがあります。
胃のポリープの手術の費用と入院期間
胃のポリープを切除する手術は、体の負担も少なく済むため、比較的気軽に受けることができます。
また、経済的にも負担が少ないと言われていますが、費用や入院期間はどのくらい必要になるのでしょうか。
手術費用
胃のポリープの切除手術にかかる費用は、手術方法により異なります。
内視鏡的粘膜下層剥離術の場合は、入院が伴うため、費用が高額になる傾向にありますが、平成18年度より保険適用になったため、以前に比べると負担が少なくて済むようになりました。
医療機関や、切除するポリープの数により、費用は異なってきますが、切除するポリープが1つで3割負担の場合、大体以下のような負担額になるようです。
- 内視鏡的ポリペクトミー:14,000円~18,000円前後
- 内視鏡的粘膜切除術:18,000円~22,000円前後
- 内視鏡的粘膜下層剥離術:150,000円~170,000円程度
入院期間
内視鏡的ポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術の場合は、30分程度で手術が終わり、2時間程度病院内で療養したら、帰宅することが可能です。
ただ、術後の体調によっては、1日~3日の入院を勧められることもあります。
内視鏡的粘膜下層剥離術の場合は、手術自体は3時間程度で終わりますが、5日~7日程度の入院が必要となります。
ポリープ切除手術後の痛み
胃のポリープの切除手術は、他の部位の手術に比べると、体の負担は少ないです。
そのため、手術後に痛みを感じる人は少ないですが、まれに出血をしたり、痛みを感じることがあります。
入院が必要なかった人でも、1週間程度は安静に過ごし、以下のような行動はできるだけ避けるようにしましょう。
- 激しい運動
- 重い物を持つ
- 排便時にいきむ
- 湯船に浸かる
もし、手術後1週間の間に、胃やお腹の痛みを感じたり、赤黒い便が出た場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。
ポリープ切除手術後の食事の注意点
ポリープ切除後は、胃にやさしい食事を摂るように心がけましょう。
手術後1週間は、できるだけ柔らかく調理した食事を摂り、刺激物を避けることが大切です。
また、下痢をすると出血する可能性が高くなってしまうので、下痢を誘発するような食品も避けるようにしましょう。手術後に避けたい食品には、以下のようなものがあります。
- 香辛料
- アルコール
- 冷たい飲み物
その他、普段から下痢をしやすい人はお腹を冷やさないようにしたり、食物繊維が豊富な食品を避けるなど、十分注意するようにしましょう。
手術後は胃にやさしい生活を
胃のポリープの切除手術を終え、経過が良好でも、胃のポリープが再び発生することもあります。
胃のポリープは、食生活の乱れや喫煙、運動不足、ストレス等によって発生することがあります。手術後は、規則正しい生活、胃にやさしい生活を心がけ、再発しないように気をつけましょう。
また、胃のポリープは自覚症状が少ないので、手術後も健康診断を年に1回は必ず受けるようにしましょう。