胆石症を治療せずにいると、重症化して、急性胆のう炎にかかるリスクが高くなります。
そうして、急性胆のう症にまで病状が進行してしまうと、多くの場合、手術による治療が必要になります。
そこで今回は、胆石の手術に必要となる費用や、入院期間についてまとめました。
胆石症とは?
胆石症とは、胆のうに胆石ができる病気です。
胆のうには、肝臓で作られた胆汁が溜まりますが、胆汁のコレステロールや胆汁酸のバランスが崩れたり、胆汁が大腸菌に感染したりすると、胆汁内のコレステロールや色素が結晶化して、胆石ができます。
初期症状としては、背中に違和感や、脂肪分や油分の多い食事を摂った後の、右上腹部の軽い痛みがあります。
胆石症が重症化すると…
胆石は、日本人の10人に1人は持っていると言われており、ほとんどの人は症状が出ることなく生涯を終えると言われています。
一方で、胆石症の症状が進行し、疝痛発作と呼ばれる激痛が繰り返し発生するようになったり、重症化して急性胆のう炎を発症する人もいるので、胆石症は早期に治療しておくことをおすすめします。
急性胆のう炎とは?
急性胆のう炎は、胆のうの出口に結石が挟まり、胆のうと胆管を繋いでいる胆のう管が詰まることから始まります。
胆汁の流れが胆石によって妨げられると、胆汁に含まれる胆汁酸の刺激により、胆のう壁に炎症が起こます。
更に胆汁に細菌感染が起こると、急性胆のう炎が引き起こされると考えられています。
急性胆のう炎の症状
急性胆のう炎になると、吐き気や嘔吐、発熱をはじめ、胆石症同様の右上腹部や背中にかけての激痛、黄疸や倦怠感などが出ることがあります。
これらの症状のうち、痛みは数時間で落ち着くことが多いですが、痛み以外の症状は2~3日続くこともあります。
また、急性胆のう症は、一度症状が治まっても、再発するリスクが高いため、できるだけ再発する前に適切な治療を受けることが望ましいとされています。
急性胆のう症の治療方法
急性胆のう症の治療方法は大きく分けて3種類あり、症状や患者の状態を見ながら進められます。
いずれも単独で行うことは少なく、2つないし3つ全ての治療を行うこともあります。
1.点滴治療
急性胆のう炎と診断されると、まずは抗生物質の点滴治療を行います。
急性胆のう炎は、体力を消耗することも多いため、点滴治療により症状を落ち着かせ、体調を安定させるのが目的です。
2.胆のう摘出手術
胆石症から発展した急性胆のう症は、繰り返し炎症を起こすことがあるため、胆石と胆のうを摘出することが多いです。
主に行われる胆石の手術は以下の2種類です。
腹腔鏡下胆のう摘出術
胆のうの摘出手術は、現在、腹腔鏡を用いた「腹腔鏡下胆のう摘出術」が最も多く行われています。
腹腔鏡下胆のう摘出術は、2cm程度の傷を腹部の3~4か所に開けるだけで胆嚢の摘出ができるので、開腹術よりも負担が少なくて済みます。
開腹胆のう摘出術
胆のうの炎症が強い場合や、上腹部の手術を過去に受けた事がある人の場合は、開腹術である「開腹胆のう摘出術」を行います。
開腹胆のう摘出術は、傷が10~15cmと、腹腔鏡下胆のう摘出術より大きくなってしまいます。ただ、胆のうやその周りの状況を確認しながら手術を行うことができるというメリットもあります。
3.胆のうドレナージ
胆のうドレナージとは、胆のうに溜まった胆汁を取り出す治療方法です。
内視鏡を用いる「内視鏡的経鼻胆のうドレナージ」と、針を用いる「経皮経肝胆のうドレナージ」の2種類があり、症状や体調に合わせて選択します。
内視鏡的経鼻胆のうドレナージは、内視鏡用いて細い管を鼻から入れる方法で、黄疸が出ている人や、症状が重い場合に行われます。
一方、経皮経肝胆のうドレナージは、針を胆のうに刺し、そこから細い管を入れる方法で、何らかの理由により、内視鏡的経鼻胆のうドレナージによる治療ができない場合に行われます。
胆石手術の際の入院期間と費用
急性胆のう炎にかかり、胆のう摘出手術を受けることになった場合、入院期間や費用はどのくらいになるのでしょうか。
合併症などがなく、急性胆のう炎のみの治療を受ける際の、入院期間や費用についての目安をまとめたので、参考にしてください。
入院費用
- 腹腔鏡による手術の場合:10万円~15万円程
- 開腹術による手術の場合:15万円~20万円程
入院費用は、入院日数によって大きく異なってきますが、一般的に20万円を超えることはあまりないようです。3割負担で以下の費用がかかります。
入院期間
腹腔鏡を使用する胆のう摘出手術を行うか、開腹術による胆のう摘出手術を行うかで、入院期間は異なります。
- 腹腔鏡による手術の場合:3~7日程度
- 開腹術による手術の場合:7~10日程度
入院期間後も、自宅療養期間(腹腔鏡:1~7日程度、開腹術:14~30日程度)が必要になるので、仕事などを休む際は、自宅療養期間も併せて申請するようにしましょう。
胆石症は早めに治療を!
胆石症の症状が軽いうちに治療を受けておかないと、疝痛発作のような激痛に悩まされたり、急性胆のう炎にかかるリスクが高くなります。
胆石症の根本的に治療するためには、手術による胆のう摘出が必要ですが、服薬や体外衝撃波といった内科的治療を選択することもできます。
胆石症は放置せず、早めに医療機関にかかり、治療を受けるようにしましょう。