血液検査の中に、血色素量(Hb/ヘモグロビン濃度)という項目があります。
血色素量が低い状態を、一般的に「貧血」と言いますが、具体的にはどのような症状や原因が潜んでいるのでしょうか。
ここでは、血色素量が低い時の原因や、今からでもできる血色素量を増やすための方法をまとめています。血色素量が低い方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
血色素量とは?
血色素量とは、血液中のヘモグロビン濃度のことを示しています。
ヘモグロビンは、肺で酸素と結合し、体の隅々まで酸素を届けるという大事な役割を持っているため、濃度が低くなってしてしまうと体にさまざまな不調が現れます。
そのため、血色素量を調べることは、そういった不調に気づき、重篤化することを防ぐことに役立ちます。
血色素量の基準値
血色素量の基準値は、男女で異なります。
- 男性:13.9~16.0g/dl
- 女性:11.4~14.8g/dl
また、高齢の場合や妊娠中は基準値が少し下がるので、検査結果が基準値を多少下回っても基準値の範囲内と思って良いでしょう。
血色素量が低くなる原因
血色素量が低くなってしまう原因は、大きく分けて以下の5つが挙げられます。
1.鉄欠乏性貧血
血色素量が低い原因として、一番多いのが鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血は、食事の際に鉄分が不足していたり、鉄分の吸収がうまくいっていない場合、また、消化器系の疾患により慢性的に出血している場合に起こります。
月経中も鉄欠乏性貧血になることがあるので、もし月経中に血液検査を受けた場合は、再検査を受ける事も考えましょう。
2.ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血
ビタミンB12欠乏性貧血や葉酸欠乏性貧血は、その名の通り、ビタミンB12や葉酸が不足することで発症します。
葉酸は赤血球の産出に深くかかわっている栄養素で、ビタミンB12はその葉酸の働きを助けている栄養素です。
ビタミンB12が不足すると、葉酸の働きも鈍くなり、正常な赤血球が作られなくなってしまうため、血色素量が低くなってしまいます。
3.再生不良性貧血
再生不良性貧血とは、難病に指定されている貧血で、骨髄にある造血幹細胞が何らかの原因で正常に働かなくなることで発病します。
再生不良性貧血の場合は、血色素量以外にも白血球や血小板などの数値も低くなるため、他の血液検査の項目にも異常があらわれます。
4.腎臓貧血
腎臓は、赤血球を産出する働きを促すエリスロポエチンというホルモンを分泌しています。
しかし、腎臓病を患うことで腎臓の働きが低下すると、エリスロポエチンの分泌量も減ってしまい、赤血球を産出する能力が低下します。そして、結果的に血色素量も低くなってしまいます。
5.溶血性貧血
溶血性貧血の原因は様々で、先天性のものと、運動や火傷、蛇の毒などによるもの、さらに自己免疫性のものがあります。
いずれも、通常120日程度ある赤血球の寿命を10日程度に縮めてしまうことで、血液中の赤血球量が少なくなり、血色素量も低くなってしまいます。
血色素量が低い時の症状
血色素量が低いと、体に様々な不調が現れてきます。
症状は軽度の場合は気づきにくいので、普段からしっかり体調を気にすることが大切です。
疲れやすくなり脈拍数が上昇する
血色素量が低くなると、運べる酸素の量も少なくなってしまうため、全身の細胞が酸素不足に陥ります。
そのため、疲れやすくなり、それを補おうと心臓はたくさんの血液を循環させようとするため、脈拍数が上昇します。
立ちくらみやめまい
血色素量が運ぶ酸素の量が少なくなると、脳も酸欠状態に陥ります。
脳が酸欠状態になると、立ちくらみやめまいを引き起こします。
肌の色が悪くなる
ヘモグロビンは血液を赤くしている色素なので、ヘモグロビンが減ると、肌の色が悪くなります。
肌以外にも、爪やまぶたの裏にも症状が現れやすく、気づきやすい部位なので、普段からチェックしておくのもおすすめです。
息切れ
血色素量が低くなったために足りなくなった酸素を増やすために、呼吸が早くなり、息切れしやすくなります。
血色素量が低い状態が続くとどうなる?
血色素量が低い状態を放置しておくと、更に重い症状が現れるようになり、日常生活にも支障を来してきます。
頭痛や自律神経の乱れ
脳の酸素が不足する状態が続くことで、頭痛が続いたり、自律神経が乱れます。
自律神経が乱れると、集中力が低下したり、イライラしやすくなります。
氷食症
氷食症は、まだはっきりとしたメカニズムわからないと言われています。
しかし、脳の酸欠状態が続くことで自律神経が乱れ、その影響で判断力が鈍り、氷を無性に食べたくなる氷食症になってしまうという説があります。
失神
脳の酸欠状態が長期間続いたり、脳の酸欠による自律神経の乱れが原因で、失神してしまうことがあります。
失神は、事故や大けがに繋がることもあるため、ここまで症状が重くなる前に、きちんと対処をすることが必要です。
血色素量を増やす方法
病気が原因で血色素量が低くなっている場合は、原因をつきとめ、原因となっている病気の治療を受けることが必要になります。
しかし、軽度の場合や、鉄欠乏性貧血などの食生活に由来する血色素量減少の場合は、食生活を改善することで血色素量を増やせることもあります。
ヘム鉄が多く含まれる食品を摂る
血色素量が低くなったら鉄分を多く含む食品を摂ることをおすすめします。
ただし、鉄分の中でも、より鉄分としての吸収率が高い「ヘム鉄」が含まれる食品を選びましょう。
ヘム鉄は動物性の食品に多く含まれていて、レバーや赤身肉、しじみやあさりなどに多く含まれています。
ビタミンB12や葉酸が多く含まれる食品を摂る
ビタミンB12と葉酸が不足してしまうと血色素量が低くなる原因となるため、普段の食事から積極的に摂取するようにしましょう。
ビタミンB12を多く含む食品 | 葉酸を多く含む食品 |
---|---|
・しじみ・赤貝・かき等の貝類・レバー | ・納豆・レバー・枝豆・ほうれん草・ブロッコリー・かぼちゃ |
ビタミンB12と葉酸は併せて摂ることで血色素量の改善につながるので、上手に組み合わせながら食事に取り入れてみてください。
手軽に必要な栄養素を摂るには?
ヘム鉄やビタミンB12 、葉酸が多く含まれる食品をいつも摂れれば良いのですが、なかなか難しい時もあると思います。
そういう時は、サプリメントを利用するのもおすすめです。いずれも、一般的なサプリメントとして取り扱われているため、気軽に取り入れることができます。
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血色素量を意識して健康的な生活を!
血色素量が低いことによる不調と、うつ病による不調と勘違いして、心療内科を受診する方も多いそうです。
つまり、血色素量が低くなると、日常生活に支障が出るほど辛くなるということです。
血色素量が低かった方は、早めに医療機関を受診して、原因を突き止める、併せて食生活を改善し、健康的な生活を送れるように努めましょう。